新規事業担当者が知っておきたい、仕事との向き合い方や困難の乗り越え方【役員インタビュー】
ーーこれからの時代、いつでも新たな挑戦ができる準備をしておくことが大事。
この言葉通り、パーソルイノベーション取締役執行役員の岩田は、取締役執行役員という立場になった今も、常にそのことを大事にしています。
新規事業創出の責任者である岩田は、どのような想いで業務に携わっているのか。今回、その想いを聞いてみました!
※所属部署・役職は2020年9月時点のものです。
▼岩田 亮
パーソルイノベーション株式会社 取締役執行役員
1999年人事コンサルティング会社でコンサルティング営業を1年経験。2000年にインターネット業界に特化した人材サービス企業をインテリジェンス(現パーソルキャリア)の出資を得て創業。2003年にインテリジェンス(現パーソルキャリア)に吸収合併。その後、人材紹介事業部でIT領域のマネジメントを担当。2016年3月まで人材紹介事業部の事業責任者を務めた後、2016年4月にインキュベーション事業部を発足し、新規事業の開発に従事。2019年4月より現職。
人の可能性を潰してない?その疑問が出発点。
ーー岩田さんのパーソルイノベーションでの役割を教えてください。
私が関わっていることは大きく2つ。
1つは新規事業創出の推進です。パーソルグループのビジョンである「はたらいて、笑おう。」を実現するために、パーソルイノベーションが世の中に必要だと考えている領域やテーマで、事業開発を進めています。
もう1つはイノベーション体質強化プログラム『Drit』の管掌。『Drit』で採択された起案をどう立ち上げて成長させるか、その全体を管掌しています。
ーー岩田さんの経歴を確認すると、社会人2年目で事業の立ち上げを経験しています。新しい何かをつくり出そうとする原動力は、どのような体験から生まれているのでしょうか?
幼少時代に見聞きしたことが大きいのだと思います。
子どもの頃から、「どうして大人は人の意見や考えを聴かず一方的に押し付けるような話し方をするのだろう?」と疑問に思うことが多くて。しかもその押し付けるような話には背景や理由が大してなかったりして、とても違和感がありました。
ほかにも、学生時代でいえば、多くの人が「勉強ができるか、できないか」で将来を評価され、落ちこぼれた人たちは将来を諦めてしまう…という構造にも違和感がありました。
私が目にしていた世の中は、生きていくことに対してポジティブじゃないように見えました。なんだか、生きることを息苦しく感じたんです。
そういうこともあって、人の可能性を広げることを社会全体でできないだろうか、という想いがずっと胸にあります。
会社が事業を行うのは、社会をより良くするため。青臭い話ですが、閉塞感のある世の中を変えたいという気持ちが「今あるものを変えたい、新しいものを生み出したい」という挑戦につながっているのかもしれないですね。
困難にぶつかった時の乗り越え方とは?
ーー岩田さんは2016年から新規事業開発に従事しています。それにはどういう背景があったのでしょうか?
きっかけは、2008年に起きたリーマンショックです。当時、インテリジェンスは大変厳しい経営状態に陥りました。各社の採用意欲が減退する中で、私は状況打破に向けてさまざまな手を打ちました。その中で注力したのが当時活況であったインターネット産業への人材支援です。
その産業を盛り上げるべく、スタートアップの経営者やベンチャーキャピタルの方々とも多く接点を持ち、さまざまな企画に取り組ませて頂きました。その中で、ふと、「インターネット業界はこれほど変化を生み出しているが、自分たちは市場に変化をもたらせているのだろうか?」と疑問に思うようになりました。それから、「私たちももっと新たな挑戦をしなければいけないのでは?」という気持ちが強くなっていったんです。
そんな心境だった2016年に、組織再編などのタイミングもあって、新しいことに挑戦できる機会を得ることができました。そこで、2016年4月に新規事業開発組織『Innovation Lab.』を新設したんです。
ーーパーソルイノベーションの前身ともいえる組織ですね。そこでの取り組みは順風満帆だったのでしょうか?
いやいや、もう1年半ぐらいは失敗や迷走の嵐です(苦笑)。新しく色々なことを行ったものの、ほとんどがうまくいきませんでした。
それは新規事業の構想の甘さもあったし、たとえ新しいことを始めても、勝手が良く分からずだいぶ苦労しました。また、経営と現場の目線の不一致や、既存事業とのカニバリをどうするかなど、調整事項も多かったですね。
ーーそうした状況は、どのように乗り越えたのでしょう?
単純ですが、自力で何とかすることだけでなく社内外問わず、共に戦える仲間をつくることです。特に新規事業に知見のある外部の有識者を社内の目線を合わせる為にうまく活かすのは大事だったかと思います。
そもそも、既存事業の運営と新規事業の創出は、事業としてまったく違う。当時、内部にはそうした違いに対する理解がありませんでした。
そこで、外部の力を借りて会社としてどういうビジョンを掲げ、どういう世界を築くのか、まずはその目線を合わせることを行いました。そこから、内部でも協力してくれる人が現れ、軌道に乗り始めましたね。
新規事業創出に必要な3つの要素
ーー社内外に仲間がいることが、困難を突破する鍵になるのですね。
そうなんです。そもそも新規事業は、「人」「アイデア」「環境」の掛け合わせで生まれます。
いいアイデアがあっても、起案者にそれを推進する情熱がないと頓挫してしまう。情熱があっても、アイデアがいまいちなら、世の中に受け入れられない。人とアイデアがそろっていても、事業を支える環境がないと、事業は立ち上がらない。
これらの経験から、新規事業創出の環境を整えるために『Innovation Lab.』を、パーソルイノベーションへと発展することになったんです。
その際重視したのは、意思決定のシンプル化。誰が何を決めるのか、その手順をシンプルにすることが、新規事業を創る環境として重要です。
いざ新しいことを始めようとしても、企画書を書いて、稟議にあげて、いくつもの部署に確認して……としていたら、始める時にはすでに周回遅れになってしまいます。
ーーそうして立ち上がったパーソルイノベーションを、岩田さんはグループ内ではどのような位置付けにしようと考えていますか?
グループビジョンの先導者であり、挑戦する文化を育む基盤でもありたいですね。既存事業の社員に対しては、新しいことに挑戦したくなった時に、相談できたり、実際に実行できるサンドボックスでありたいと思いますね。そのために、『Drit』がありますから。
また、新規事業創出における挑戦のノウハウが、既存事業にいい影響として与えられる存在としても機能するようにしたいと考えています。
「はたらいて、笑おう。」の実現のため、欠けたピースを埋める。
ーーこれから新規事業に挑戦する人でも、既存事業に携わる人でも、共通して大事だと思う仕事への向き合い方はありますか?
管理職であっても、現場のメンバーと一緒に汗をかきながら、いつでも自分がメンバーとして働けるよう準備をしておくことだと思います。
今後は売上規模やマネジメント人員で評価されるのではなく、その人にどういう構想があって、どういう引き出しがあるか、が求められていくでしょう。
日々の業務でいえば、私自身も新規事業を生み出す責任者として、企画書を書き、さまざまな事業に対して自分の頭で考えることを大事にしています。そもそも管掌するのに、メンバーと一緒に考えられなくては意味がないですから。
ーー最後に、岩田さんがパーソルイノベーションを通じて、実現したい社会を教えてください。
パーソルグループのビジョンである「はたらいて、笑おう。」に込められている、1人1人の多様なはたらき方や価値観に寄り添い、人々が自分のはたらき方を自分で決め、豊かな人生を送ることができる社会ですね。
私が新規事業創出に力を入れるのは、その実現には既存事業だけでは足りないピースがあるから。1人でも多くの人がそうした状態になれる選択肢があることが大切だと考えています。
人の可能性を広げたい。この気持ちはずっと一貫しています。
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