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デザイン思考のフレームワークを使って実際にプロジェクトを進めてみた話 ~いま改めて問う、DXとは何かについてより深く突っ込んだ話【後編】~

こんにちは。パーソルイノベーション・デジタルマーケティング部の木村です。先日アップした「DXで重要な顧客理解にはデザイン思考のフレームワークが役に立つという話~いま改めて問う、DXとは何かについてより深く突っ込んだ話【中編】~」も、「前編」に引き続き多くの方に読まれているようでありがたい限りです。

「中編」では、顧客をより深く理解するために有用な「デザイン思考」のフレームワークを紹介しました。デザイン思考とは、デザインしたサービスやプロダクトの先にあるユーザーを理解し、仮説を立て、初期の段階では明らかにならなかった第二の戦略や代替する解決策を特定するために問題を再定義する、一連の問題解決の考え方のことでした。

「後編」の今回は、予告通り、「共感マップ」や「カスタマージャーニーマップ」、「ユーザーストーリーマップ」等のフレームワークを活用して企画を進めた実例をご紹介します。

今回話を伺ったのはこの人

パーソルホールディングス グループデジタル変革推進本部
BITA部コーポレートIT室 プロダクトオーナー 市川 高史さん

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新卒で大手Sierに入社、Webシステムのリニューアルからエンハンス・保守・運用を約10年経験。2019年7月パーソルホールディングスに入社し、現在はパーソルグループ全社員のアカウント管理システム(スクラッチシステム)のプロダクトオーナー。6歳の愛娘とマインクラフトにはまり一緒にプレイするのが日課。

デザイン思考を取り入れることになった背景

ー プロジェクトについて伺う前に、所属している部門の活動目標についてお聞かせください。

(市川)私の所属する「BITA部」とはBusiness Analysis + IT Architectureの略語で、社内のシステムライフサイクルすべてを担当するチームです。
今期、パーソルグループでは、「"個人"にフォーカスする」「テクノロジーを武器にする」「世界で価値を提供する」の3つを掲げており、その仕組みを作る部門になるべく、アイディア創出から一貫して顧客課題と向き合うことが重要という認識から、内製化・アジャイル化を進めることになりました。
そのため、ほぼすべてのプロジェクトで、アジャイル開発の代表的な手法の1つで、中でもチームのコミュニケーションを重視した手法である「スクラム開発」でやっていくことになり、デザイン思考はスクラムのために必要な考え方として取り入れることにしました。いままで私たちの部門はどちらかというと事業部/コーポレートに対して受け身だったのですが、もっと顧客志向で、スピーディーに価値を提供できる部門になりたいという思いからこの活動が始まっています。

最初は不安だった

ろくろ2補正

ー 部の方針としてスクラム開発手法をとることが決まったわけですね。すぐに取り掛かれましたか?

(市川)実は、私たちのチームメンバーにはスクラム開発の実経験が少なかったことや、経験があってもあまりうまくいっていなかったこともあり、乗り切れないのではないかという不安がありました。また、もともと私たちの業務が保守運用が中心だったため、スクラム開発をやる意義があるのか?と半信半疑の気持ちもありました。
そのため、部の中で、スクラム開発/デザイン思考を取り入れたパイロットチームをいくつか立ち上げてから浸透させるという進め方になりました。

プロジェクト概要

ー 市川さんがPO(プロダクトオーナー)となったプロジェクトの概要を教えてください。

(市川)パーソル社内で使われる「共通アカウント管理システム」です。人事イベント(発令)に合わせたアカウントの生成、O365ライセンス、Microsoft Outlookメールの配布リスト、​など「アカウントに紐づくライフサイクル・設定」をつかさどるシステム​を指します。
当システムは、品質、パフォーマンスとも、ユーザー(社員)から厳しい声をいただいており、チームの中もサイロ化しており、プロジェクトのコンディションはよくありませんでした。ただし、立て直しということは伸びしろがあるということでもあり、今回、スクラム開発/デザイン思考のフレームワークを用いてみることで、ユーザー体験の良化を実現できそうな予感はしていました。

デザイン思考のフレームワークでそのままやってみた

ー どのようなプロセスを踏んだのかを教えてください。

(市川)スクラム開発やデザイン思考のフレームワークに沿って以下のようなプロセスを踏みました。

①現状把握 ~ユーザー(社員)へのインタビューの実施
②ペルソナ共感マップを用いて、課題の特定化
③カスタマージャーニーマップを用いて、あるべき姿の定義
④ユーザーストーリーマッピングを用いて、実装すべき機能の優先付け
⑤デザインスプリントの手法で、ユーザーの声を取り入れながら要件を定義
⑥デザイン~開発

ペルソナフォーマット0514

②のペルソナ共感マップは、顧客が何を聞いて、何を見て、どのようなことを考え、どんな行動に移すのかを可視化してくれるフレームワークです。

①のユーザーインタビューをもとに作成しました。私は最初ユーザーの声を意訳してしまい、抽象化した言葉で書きこんでしまったのですが、それだとユーザーの本当の課題が見えてこないというフィードバックをいただき、できるだけ顧客の言葉で書くようにしました。注意したのは以下の点です。

・ユーザーが複数タイプいる場合は、ユーザー毎にペルソナを作成する。
ユーザーの声をサマリにせず(意訳せず)、細かなニュアンスまでをありのまま書く(「ユーザーがどういう意図でその発言をしたのか?」を解釈できるようにするため)
・たとえば「時間がかかる」などユーザの感覚に基づくものは「どれくらい時間がかかっているのか」などと定量化する
※ 後続であるべき状態を考えるときに、「何分以内に完了する」など目標を立てやすくするため
・優先順位は、開発からの観点(実装が難しい、開発工数がかかるなど)は考慮せず、あくまで、「ユーザー満足度への影響」というユーザー視点で順位をつける

共感マップAsis

共感マップToBe

(補足)
・洗練されていないかもしれないが(笑)中身はユーザーの声に基づいており課題を浮き彫りにするのに役立っている。
ユーザの満足度レベルは3つあり、「困っていることを不満のない状態にする」「不満のない状態」「不満がないものをより良くしていく状態」。今回CATSプロジェクトでは「困っていることを不満のない状態にする」ことに注力している。したがって優先順位は、ユーザが困っていることに対して実施した。
・ユーザ体験にとって、「一番困っていることが解決されていない」ことが失敗である。そのためにも、優先順位をつけて何に取り組むか?を決めることが重要である。

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③カスタマージャーニーマップは、できあがったものは割とシンプルですが、今PJでは、以下のようなことに気を付けました。

・共感マップToBeのユーザの感情/印象が実現できていること。
・ある処理のシチュエーション、状況時のユーザの感情・プロセスがユーザごとにまとめられていること

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④ユーザーストーリーマッピングは、プロダクトの全体像とアジャイル開発でのMVP・今後のリリース計画についてチームの共通理解を作ることができる手法です。

ユーザーストーリーマップは大きく次の2軸で構成されます。
横軸:時系列にメインアクティビティを並べていく(ユーザーがどんな流れでプロダクトを使うのか)
縦軸:各アクティビティでユーザーに提供したい体験(ユーザーストーリー)をリリースしたい優先度順に並べていく以下のようなことに気を付けました。
(出典:https://note.com/hiroko_nozawa/n/n24a2c97e88a5)

作成では、以下のことに気を付けました。

・ターゲットユーザーが複数いる場合、ユーザーごとにユーザーストーリーマッピングを作成する
・ナラティブフローの項目ごとに実現したいユーザ体験を、優先順に並べる
・横軸は時間の経過、縦軸は優先順位
・バックボーンには「ストーリーの骨格」を、ナラティブフローには「詳細のステップ」を書く
・ナラティブフローの項目ごとにユーザ体験を配置し、ユーザ視点で優先順位を付ける
1つのユーザーストーリーマッピングに、異なるユーザを混合しないこと。「ユーザーストーリーマッピング:ターゲットユーザー」は、1:1の関係にする

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作成されたUSMの一部。上記はExcelで作成したため洗練はされていないが、やることが明確になるのであれば体裁はどうでもよい(その後、現在のBITA部では専用のツールを使ってより美しく作られている(笑)。

このあとはデザインスプリントのプロセスなのですが、文字数が膨大になるので割愛することにいたします。

実際にやってみて見えてきたこと

ープロセスを振り返ってどうでしたか?

(市川)これまでは先に画面遷移図を作ってしまい、なんとなくよさげなものを担当者の主観で決めていたようなところがありました。また、ユーザーへのインタビューは行ったとしてもプロジェクトのかなり後半のほうだったりして、顧客の声を取り入れにくいフェイズだったこともありました。今回はユーザーインタビューを先に行い、何が課題かを整理したことで、手戻りがなくて済みました。

いい顔補正

また、ユーザーインタビューは、ペルソナ共感マップを作っている最中だけでなく、デザインスプリントの途中途中でも行いましたので、副産物として、ユーザー側もプロダクト開発に参加している感をもっていただけ、前のめりで意見を下さり、「聞いてくれてありがとう」とおっしゃっていただけています。一緒に作り上げていくという空気感ができたと思っています。

ー マイナス面はありませんでしたか?

(市川)一見、従来よりも時間がかかるということですね。ユーザーインタビューを繰り返すので、インタビューの時間の調整が必要だったり、インタビュー結果から考え直すプロセスが必要です。ただし、結果としては価値に直結する必要なプロセスになっていて、結果に対して皆の納得度は高くなっていると思います。

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この記事をお読みになっている方は、プロダクト開発やシステム開発をより高度に行いたいというニーズをお持ちだと思います(なのでデザイン思考の必要性・有用性も感じながらこの記事をここまで読んでいただいたと思っています)。

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