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DX(デジタルトランスフォーメーション)の事例まとめ!推進から成功までのポイントを解説

パーソルイノベーション・デジタルマーケティング部の福井です。DXについて推進しなければならないとなったときに、他社事例の参照はおそらく最初にやることの一つでしょう。

DXの推進は難しいと言われながらも、日本の企業でも海外の企業でもDXに成功している企業はあります。中小企業でも成功しているところもあります。ただしそのやり方をそのまま真似してもうまくいきません。業界も業種も違えばやり方も違います。成功事例を自社にうまく当てはめていかなければなりません。

では成功している企業は一体どのような工夫をしているのでしょうか。また成功するための重要なポイントは何でしょうか。ここではDXに成功するために必要なことについて説明します。

日本におけるDX(デジタルトランスフォーメーションの課題とは?

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日本政府も推し進めているDXについては、2018年に経済産業省がレポートという形でまとめていますが、日本はアメリカ等と比べ、残念ながら遅れていると言わざるを得ません。では実際に日本の企業の現状はどのようになっているのでしょうか。ここでは5つの点について指摘します。
デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン

1.IT投資が十分行われていない

日本はITに対して新しい投資をするのではなく、既存のシステムの維持に費用をかけています。システムを独自にカスタマイズしているため、維持費用だけでなく、そのシステムを改修するにも費用がかかります。

日本の場合、システムをそれぞれの企業のやり方に合わせてカスタマイズしているところが多いです。企業によっては担当者の意向に従って変更されることもあります。そのためシステムが複雑化して、別の担当者が来てもわからないということもあるのです。

そうすると担当者が変わるたびにシステムを変更しなければいけないですよね。またブラックボックス化したシステムは、新規にシステムを導入するよりも、改修費用が多くかかってしまうこともあるのです。

そのため「攻めのIT投資」と言われるITを活用したビジネスができなくなっているわけです。

2.経営層のビジョンが不十分

経営層としてはDXの必要性は理解しているものの、結局DXをどのように経営に活かしていくかというビジョンがない場合もあります。DXはただシステムを導入するだけではありません。システムを導入することで、今までの業務を効率化していく必要があるのです。

またDXは企業風土を変えることにもつながります。そういう意味では一部のやり方を変えるだけでは問題で、全社的な取り組みが必要になってくるのです。そうした覚悟も経営陣に必要になってくるのがDXなのです。

3.IT人材の不足

DXを行うためにはIT人材が不可欠です。しかし現在IT人材はかなり不足しています。またデータを生かした経営も必要になります。データをビジネスに活かす知識を持っている人材は必要です。しかしそうした人材の確保はなかなか難しいのが現状です。そのためなかなかDXを進められないのです。

4.ベンダー企業に依存している

日本の企業ではシステムを開発する場合、ベンダー企業に要件定義からすべて依存しています。そうするとどのような問題が起こるかというと、実際に企業が課題としているものを解決できないシステムが完成してしまうのです。

そうしたシステムが納品された場合、そのシステムは結局使わないまま終わるか、使い勝手が悪いのでどんどんカスタマイズしていくことになります。カスタマイズをし続けると、他の人では使えないシステムになってしまうのです。このやり方では保守費用がかかり続けるだけですよね。

5.会社全体での導入が難しい

日本の企業では各部門で導入しているシステムが違うという場合もあります。グループ会社でも、各会社がまったく違うシステムを使っていて、管理がうまくできないこともあるのです。

DXを推し進める場合、システムを統一しなければなりません。つまり全社で共通したシステムを使って行くことになるのです。そのために全社的にシステムを導入できるように、各部門に理解してもらう必要があるでしょう。

日本の推進・成功事例

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ここで、「DX銘柄」を参照してみましょう。

経済産業省は、デジタル技術を前提として、ビジネスモデル等を抜本的に変革し、新たな成長・競争力強化につなげていく「デジタルトランスフォーメーション(DX)」に取り組む企業を、「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」として選定しています。
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/keiei_meigara/report2020.pdf

DX銘柄として選ばれている企業は、単に情報システムの利用やデータの活用をしている企業ではありません。

デジタル技術を活用して、ビジネスモデルそのものを変革しようという企業であり、今後もそうした挑戦をし続ける企業が選ばれています。その中でもとくにデジタル時代を先導する企業としてDXグランプリ2020の企業が2社選ばれています。

その企業は株式会社小松製作所とトラスコ中山株式会社の2社です。ここではこの2社がなぜDXに成功しているのか、DXの内容について紹介します。

・株式会社小松製作所

小松の場合、デジタルですべての作業をつないでいくという試みを行っています。機械の自動化にも力を入れており、今後さらなるデジタル化が期待されます。

モノ(機械の自動化・自律化)とコト(施工オペレーションの最適化)で、施工のデジタルトランスフォーメーションを起こし、「安全で生産性の高いスマートでクリーンな未来の現場」をお客さまと共に実現している会社です。
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/keiei_meigara/report2020.pdf

・トラスコ中山株式会社

トラスコ中山株式会社はモノ作りを行っている製造業の会社で、データ経営です。データをしっかりと分析し、経営判断を行っています。当然ではありますがAIも活用しています。常にKPIを把握し、それを経営判断に行かしているという会社です。データ経営は日本でも取り入れているところが増えてきました。今までの勘に任せた経営ではなく、しっかりと根拠を持った経営判断にDXは生かされているのです。

2020年1月に基幹システム(パラダイス)を刷新。社内の業務改革とともに「問屋」としてサプライチェーンの中流にいる当社がITを活用し、DXを図ることで、サプライチェーン全体の商習慣を変えて利便性を高め日本のモノづくりに貢献していきたいと考え、推進しています。

取引先様(得意先、仕入先)とのデータ連携手段を多種多様な形で用意し、当社の機能(在庫・物流・システム・データ)を、プラットフォームとして利用していただける環境を整備し高度化しています。
取引先様とはビジネスパートナーとして、各種データの共有や物流網の整備等を共創していくことで、日本のモノづくり全体を支援するエコシステムを構築している会社です。https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/keiei_meigara/report2020.pdf


海外の推進・成功事例

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海外でもDXに成功している企業は当然あります。たとえばジェトロの論文ではDXを以下の4種類に分け、それぞれ成功している企業について例が挙げられています。

Andrew Annacone氏は、DXは、
①ビジネスプロセストランスフォーメーション(Process Transformation)
②ビジネスモデルトランスフォーメーション(Business Model Transformation)
③ドメイントランスフォーメーション(Domain Transformation)
④文化・組織トランスフォーメーション(Cultural/Organizational Transformation)
の4種類に分けられる。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/1fb13cf2232a86ac/202009.pdf

・ドミノピザ(ビジネスプロセストランスフォーメーション)

ドミノピザは日本でもほとんど知っているのではないでしょうか。ドミノピザは、ソーシャルメディアでドミノピザのピザの味が良くないと拡散され、窮地に追い込まれました。

その後メディアを使った大々的なキャンペーンが好意的に受け止められ、危機を出しました。そのためこうしたテクノロジーの活用を考え、DXにも着手したわけです。

その結果、ドミノピザをあらゆるチャンネルから注文できるようなシステムを開発し、ピザを迅速に注文できる仕組みを作り上げました。ピザの注文も極力簡単に出来るようにすることが売り上げを伸ばすポイントだと考えたわけです。

・.Netflix社(ビジネスモデルトランスフォーメーション)

フリックス社は動画サービスですね。皆さんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。このネットフリックス社のDX戦略とは、ユーザの視聴履歴から、解析し、ホームページ上でオススメ作品や話題作を表示することです。

そうすることでユーザは検索しなくても視聴したい作品を見ることが可能です。この視聴データをもとに、Netflix社で制作する作品も決めており、それらはヒットに結びついています。

・ThyssenKrupp社(ドメイントランスフォーメーション)

この会社のDXの対象になっているのは、エレベーター事業部門です。クラウド上でエレベーターの動作状況のデータを収集し、そのデータをもとに部品の修理や交換時期を予測しています。

こうした予想ができると部品が壊れる前に保守できるわけですね。データを即時に把握できるため、問題の解決に役立っています。

・Pitney Bowes社(文化・組織トランスフォーメーション)

この会社は郵便料金計器の発明をし、実用化した大手郵便関連機器メーカーです。紙での郵便事業は徐々に減少してきたため、eコマースの企業が、商品の配送に必要な料金を計算して支払いをするという、配送プロセスを管理するクラウドサービスを開発しました。

これまでのビジネスの強みを生かして、新たな事業に挑戦して成功したと言えるでしょう。

事例から学ぶこと

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DXに成功している企業には共通点があります。その共通点は主に以下の5つです。

・人材配置を考える

DXを成功させるには人材を適切に配置する必要があります。DXを推進しようとしてもDXに関する知識がない人材ではうまくいきません。DXを推進できる人材は、デジタルに理解があるだけでなく、ビジネスに関する知識も必要です。

さらにDXをうまく進めるために、企画運営する能力も必要でしょう。こうした人材を社内で見つけておく、また適切な人材がいなければ、社内で育成することも必要でしょう。

・社内全体でDXに取り組んでいる

DXをしたいとなっても、一部の部署だけでDXを行うことはできません。たとえ推進組織を作ったとしても、そこで出された改善策を各部署が実施しなければ意味がないのです。

社内全体がDXの必要性を理解する必要があります。また推進組織を作った際には、しっかりと権限を与える必要があるでしょう。

・働き方を多様化している

DXに成功している企業は新しい働き方にも興味を持っています。その理由は社内の仕組みを変えることに抵抗がないからです。新しいことをはじめることに抵抗がない企業の風土であれば、DXに関する改革も受け入れられやすいと言えるでしょう。

働き方改革に積極的な企業は業務効率化にも積極的に取り組んでいます。そのためDXも行いやすいと言えます。

・ITツールを積極的に導入している

DXで成功している企業はデジタル化をすでに行っている企業が多いです。ITツールを利用することに抵抗があると、業務がシステム化した場合に抵抗にあう可能性が高いです。

しかし普段からITツールを利用していれば、システムを導入して業務を効率化するという考え方も受け入れやすいといえます。

・DXを計画的に行っている

DXはすぐに導入できるというものではありません。まずはDXに関する知識を身につけ、DXを行う中心組織を作り、計画的にDXを行っていかなければなりません。

またいきなりDXをはじめても社員はついていきませんよね。段階を踏んでDXを導入するのは、成果が出るまで時間がかかりますが、計画的に行うことで業務効率化につながることが多いです。

DXの推進・成功のポイントとは?

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DXの成功事例についてはすでに述べましたが、では成功するポイントはどのようなことがあるでしょうか。ここではそのポイントを5つにまとめました。

1.DXの目標設定をしっかりする

DXで成功するためには目標をしっかりと決める必要があります。何のためにDXを行うのか、そのビジョンを経営陣が示さねばなりません。DXをしなければならないからと言って、ただシステムを導入しただけではうまくいきません。

DXで一体何を実現したいのか、その目標をしっかりと決めるようにしましょう。

2.DX推進の人材を確保する

DXで成功するためには人材をしっかりと確保しなけばなりません。DXで必要な人材はITに関する理解があるだけでなく、ビジネスに関する理解も必要です。ビジネスが分からなければ、データをどのようにビジネスに活かしてよいかわからないでしょう。

またDXは社内を大きく変革することにもつながりますから、企画立案もできるようになる必要があるでしょう。もちろん一人ですべて行うわけではないので、チームとしてしっかりと機能するように人材を確保しなければなりません。

3.システムの導入を積極的に行い自社にあったテクノロジーを活用している

今まで使っていたレガシーシステムを利用しているようでは、DXは進みません。DXはデータをビジネスに活用することが必要ですから、膨大なデータを分析しなければなりません。そのためシステムを積極的に導入する必要があります。

またAIやロボティクスなど自社に合ったテクノロジーを利用する必要もあります。こうした技術を導入することで、業務効率化をはかっています。

またAIを使えばデータ分析が容易になります。こうしたシステムを利用することでDXは成功する可能性が高いでしょう。

4.一般社員でも使いやすい共通のシステムを導入する

全社でDXを行うわけですからシステムは統一する必要があります。各部署で違うシステムを利用していては、システムが統一できず、DXを社内全体で行えません。そのためまずはシステムを統一する必要があります。

またDXを推進するためには、一般社員でも使いやすいシステムを導入する必要があります。そうしたシステムであれば、一般社員もシステム導入に対する抵抗が少なくなります。

5.社内全体でDXに取り組むという意識が大事

DXは社内全体で取り組む必要があります。DX推進組織を作ったとしても、その組織だけではうまくいきません。まずは社員全体が、DXが必要だという意識をもつ必要があります。

そのためには一般社員が参加する研修も必要です。また現場レベルでどのようにDXを実践していけばよいのか、具体的な方法も知ってもらう必要があるでしょう。

さらにDXを導入することで現在の業務が楽になるという実感を持ってもらうことも必要です。

まずは簡単なところからはじめ、システムによってうまくいった体験をしてもらいましょう。「たしかにこれならやりやすいね」と社員が思ってくれれば、DXがうまくいくのは間違いないですね。

まとめ

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ここまでDXを成功させるために必要なことについて述べてきました。DXに関しては、一部の社員が行うだけではうまくいきません。社員全体で取り組んでいく必要があるわけです。そのために必要なことはまずは人材を確保する必要があります。

人材を確保するためには、人を雇わなければいけないですが、なかなか人材確保は難しいのが現状です。そのため社内の人材を活用してDXを行う方法もあります。しかしDXをやったことがないわけですから、どのように教育していいのかわからないんですよね。

そうした場合、外部の組織を利用するのもひとつの方法です。これから推進組織を作っていこうという企業の方にはTECHPLAYAcademyのプログラムがオススメです。

パーソルイノベーションのソリューションのひとつ、TECH PLAY Academyでは、DXに関するご相談をお受けしています。

このプログラムでは自社でDXを強力に推し進めてくれる人材を育成できます。DX化がなかなかうまく行かない企業の皆様はぜひお問い合わせください。

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TECH PLAY Academyについて 
<https://info.techplay.jp/academy >
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