シリコンバレーのトップエンジニアと企画する『TECH PLAY ACADEMY』のIT人材育成プログラムとは?
パーソルイノベーションの『TECH PLAY』では、テックイベント・勉強会の実施に加え、キャリア情報を発信するプラットフォームの運営など、法人向けのサービスを複数展開しています。
今回ご紹介するのは、法人向けサービスの1つである『TECH PLAY ACADEMY』。企業内における、IT人材育成プログラムを企画・実施しています。
『TECH PLAY ACADEMY』を立ち上げた事業責任者の片岡 秀夫(かたおか ひでお)さん、コーディネーターの林 裕子(はやし ゆうこ)さん、そしてカリキュラム開発兼講師を担当するTim Mansfield(ティム マンスフィールド)さんに、ACADEMYの事業内容やカリキュラム作りについて聞きました!
(聞き手:HRマネジメント部タレントブランディング室 小林 日奈子)
写真左:片岡 秀夫(以下、片岡)
2008年、インテリジェンス(現、パーソルキャリア)に新卒入社。経営企画部や転職支援事業の事業企画部を経て、Innovation Lab.にて新規事業開発およびオープンイノベーションを推進。分社化と同時にパーソルイノベーションで『TECH PLAY』の事業責任者として、各社のDX実現のためにDXコンサルティング・組織作り・人材育成を支援。
写真中央:Tim Mansfield(以下、ティム)
20年以上トップエンジニアとして多くの企業で開発業務に従事し、誰もが知っている日本トップクラスの日本の有名企業の開発経験も豊富に持つ。シリコンバレーの大手企業を経て、現在は複数のスタートアップのCTOとして、数多くのプロダクト開発や事業運営に携わる。『TECH PLAY』には2019年に参画し、カリキュラムの企画・開発、メンターとして育成にも励んでいる。
写真右:林 裕子(以下、林)
新卒で教育機関向けのシステム開発チームに所属しながら、熊本大学大学院に入学し人材育成・人材開発に関連する研究を行う。2015年パーソルキャリアに入社し、IT領域専門のキャリアコンサルタントとして従事。2019年1月より『TECH PLAY』に参画。育成事業のコーディネーターとして研修の設計・効果測定等の業務を担当する。
※所属部署・役職は2021年12月時点のものです。
IT人材育成に向けて、独自のプログラムを設計
ーー『TECH PLAY ACADEMY』では、どんなサービスを提供しているのでしょうか?
片岡:『TECH PLAY ACADEMY』は、2018年に個人向けのIT人材育成プログラムとしてスタートしました。
運営していく中で、ある企業様から新卒向けのエンジニア研修の依頼があったことを機に、2019年から法人向けサービスとして舵を切ることに。現在は、テクノロジーやDX関連の研修や人材育成プログラムを企画・実施しています。
林:研修の用途としては、新入社員研修、中堅社員向けのリスキリング、既存スキルのレベルアップの3つがメインです。実施件数でいうと新入社員向けの研修が多いのですが、ご相談いただく割合としては3つとも同じくらいあります。
最近は、製造業のソフトウェアの重要度が増していることもあり、大企業を中心にリスキリングのニーズが今後は増えていくだろうと予想しています。
ーーお客様が共通で抱える課題には、どんなものがありますか?
林:大きく3つのケースに分類されますね。1つは、そもそもカリキュラムが自社内に存在しておらず、研修やOJTを新たに実施するにしても、何をどこから手を付けるべきか分からないといったケース。
次に、育成を内製化する意思はあるものの、育成を手掛ける人材のリソースが不足しているケース。この場合、通常業務に加えて社内のエンジニアに育成業務の負荷がかかることに課題を感じていらっしゃいます。
そして3つ目が、技術方針や人材育成などの戦略の変化に対して、社内がすぐに対応できないケースです。
片岡:こうした課題に対して『TECH PLAY ACADEMY』では、「デジタルイノベーター育成プログラム」と「エンジニアブートキャンプ」の2つのコースを提供しています。
前者は、ITプロダクトの開発経験がない(少ない)エンジニアや今後そうした開発に参画予定の社員さんを対象に、企業ごとにオリジナルの内容を設計。
一方、後者では未経験者が対象で、実践を通じて技術スキルや開発スタイルを習得し、3ヵ月で即戦力のエンジニアを目指すプログラムとなっています。
ーー『TECH PLAY ACADEMY』ならではの特色は何でしょうか?
林:『TECH PLAY ACADEMY』の特徴は、以下3つが挙げられます。
(1)座学より手を動かす実践型にフォーカス
(2)個社の課題に合わせたオーダーメード設計のプログラム
(3)講師やメンターにテック業界で活躍する現役プレイヤーをアサイン
特に(3)は、他の育成プログラムと大きく異なっている点だと思います。
というのも、過去にエンジニア経験がある方を講師にするといったものではなく、『TECH PLAY ACADEMY』では、有名なテック企業の代表やCTO、GAFA出身のトップエンジニア、かつ現在もエンジニアとしてご自身で手を動かしいる方が講師を担当しているからです。
現在30名ほどの方にご活躍いただいており、いずれの講師も『TECH PLAY』のイベントに登壇経験がある、ハイレイヤー人材で構成されています。
大好きな日本のためにエンジニア育成で貢献したい
ーーティムさんが『TECH PLAY ACADEMY』にジョインした経緯を教えてください。
ティム:まずは、なぜエンジニア育成に興味を持ったのかを話しますね。
これまで私は誰もが知るシリコンバレーの大手企業に加え、複数の日本の有名企業において、エンジニアの最前線で長年活動してきました。そんな中、8~9年くらい前からエンジニア育成に力を注ぎたいと思うようになったんです。
ソフトウェア開発の世界では、たった1人のエンジニアが生み出したものでも、世界中の多くの人々に影響を与えられる。1人でも多くのエンジニアを育てられたら、それだけ世界が変わるかもしれない。そう思って、シリコンバレーを中心にエンジニアブートキャンプを開催してきました。
そのうち、このエンジニアブートキャンプを日本でも普及させたいと思うようになります。私はアメリカ人と日本人のハーフなので、愛する日本のために貢献したい想いが、ずっと心の中にあったんです。
片岡:ティムとは、サンフランシスコで開催された、あるエンジニアブートキャンプで出会いました。僕が『TECH PLAY』に参画する前なので、2016年頃だったと思います。
そこで、シリコンバレーで活躍するエンジニアのキャリアやライフスタイル、エンジニア育成の考え方など、色々教えてもらい感銘を受けたんです。『TECH PLAY ACADEMY』の構想は、ティムに大きな影響を受けたと言っても過言ではありません。
ティム:片岡さんとは、サンフランシスコのサウナで語り合って意気投合したのが印象に残っています(笑)。「すごい良いヤツだな。いつか一緒に何かできたら」と思っていたので、こうして『TECH PLAY ACADEMY』で共に仕事ができて本当に嬉しいですよ!
シリコンバレー流アジャイル開発をプロジェクトで実践
ーーティムさんが、カリキュラム開発で意識しているのはどんな点でしょうか?
ティム:シリコンバレー流の開発スタイルや考え方を、日本のエンジニア向けにアレンジしてカリキュラムに組み込んでいることでしょうか。
その1つがアジャイル開発です。実装と改善を小さいサイクルでスピーディーに繰り返していく手法でして、シリコンバレーではウォーターフォール開発よりも、アジャイル開発が主流となっています。
他にも、メンタルモデル(無自覚に持っている思い込みや価値観)からユーザー心理を理解して、より良いプロダクトへと改良するスタイルを取り入れているのも特徴ですね。
具体的に「エンジニアブートキャンプ」では、前半で言語などの技術スキルの習得を、後半ではアジャイル開発やプロジェクトマネジメントを実践するファイナルプロジェクトを用意しています。自分たちで考えながら進めて、プロダクトアイデアを実現していくのです。
また最近は、ポーランドやウクライナにいるトップエンジニアたちにも協力してもらい、一緒にカリキュラムを作っています。
これには、日本のエンジニアが、世界中のエンジニアと協働してもの作りをしてほしいという気持ちがあって。国籍や住む場所に関係なく、優秀なエンジニアが集って、すばらしいプロダクトを楽しく作る世界が、私の理想ですからね。
ーープログラムを通して、ティムさんが日本のエンジニアに伝えたいこととは何でしょう?
日本のエンジニアは皆さん真面目で、何でもきっちりこなせる点が長所です。計画やルールに沿って、ステップバイステップで積み上げていく力がある。一方で「ちゃんとやらなくてはいけない」という意識からリスクを避けてしまいがちだと感じます。
新しいアイデアやイノベーションは、リスクを恐れずに挑戦する姿勢がないと生まれてきにくいもの。ここはもっとアグレッシブになっても良いはずです。
技術の習得はベースとしてもちろん重要です。ただ、それ以上に「Let’s be ambitious!」「Be more creative!」の精神も皆さんに伝えたいと思っています。世界の舞台で活躍できる人になってほしいのです。
林:そんなティムさんの熱い想いが受講生にも伝わるんですよね。2019年から国内の大手モバイルゲーム開発・配信企業様で毎年実施している新卒入社向けエンジニアブートキャンプ(2019年はオフライン、2020年、2021年はオンライン開催)では、受講生が変化していく様子を私自身、目の当たりにしてきました。
最初は静観している方が多いのですが、プログラムが進んでいくうちに質問がどんどん活発に出てくるように。オフライン開催時は、1日のスケジュールが終わるとティムさんの周りに人だかりができて、皆さん次々に質問をしていました。
またティムさんと接することで、受講者の開発に対する視野も広がっていくように思います。
学生時代からプログラミングを学んでいる優秀な方々ばかりですが、「技術力だけ磨いても意味がない。ビジネスやマーケット、ユーザーまで広く考えていく必要があるんだ」と、目から鱗が落ちたと言わんばかりに感想を伝えてくれました。
個人で学びたい人にもサービスを広げていく
ーー最後に『TECH PLAY ACADEMY』で実現したい目標を聞かせてください。
ティム:今は大企業やメガベンチャーなどの優秀なエンジニアに向けたプログラムが中心です。ただ今後は、スキルレベルを問わず、幅広いレイヤーの人材が参加できるカリキュラムを作っていきたいと思います。
片岡:それはぜひやっていきたいですね!ティムのようなテックプレイヤーを育成していくために、まずは国内市場に目を向ける必要がありますね。
というのも「テックスキル習得後に人生が大逆転した」みたいな人に注目が集まることって、日本ではまだまだ少ないなと思って。その人たちにスポットライトを当てることで、後に続く人を増やしていきたいと考えています。
そしてゆくゆくは、企業という枠にとらわれず、テックスキルを学びたい個人向けのサービスも再び提供していきたいですね。
林:2人に同意です。絶対に実現できるよう、私ももっと頑張っていきます。ティムさん、今日はサンフランシスコから参加してくれてありがとうございました。これからも受講生の成長を促すカリキュラムを一緒に作っていきましょう!
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