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副業市場は二極化が進むはず。『lotsful』が生き残るための事業戦略・組織戦略とは?

代表である田中みどりの「副業という体験で個人の可能性を広げたい」との想いからスタートした『lotsful(ロッツフル)』。副業人材マッチングサービスを通じ、大手企業やベンチャー企業、地方自治体など、さまざまな企業・団体の副業への取り組みを支援しています。

こんにちは!パーソルイノベーション ビジネス推進部 採用室の小林 日奈子です!

『lotsful』は、2019年6月にサービス提供を開始し、立ち上げから4年半で1,300社を超す企業・団体の副業人材活用を支援するまでに成長しました(2023年11月末時点)。さらなる成長に向けどんな事業戦略・組織戦略を描いているのか。田中さんに詳しく聞いてきました!

※所属部署・役職は2023年12月時点のものです。

“正社員副業”はブルーオーシャン。2.3兆円のポテンシャルを取り込む

―― 田中さんには2020年にも当社公式noteに登場していただき、『lotsful』設立の背景や事業への想いを語っていただきました。改めて『lotsful』の事業内容やミッションについて教えてください。

『lotsful』は、ビジネスサイドに特化した副業人材マッチングサービスです。企業と副業人材が相互に挑戦・成長できる“キャリア副業”の社会実現を目指しています。

私たちが言うキャリア副業とは、ビジネスパーソンが自身のキャリアをアップグレードするために、自律的にスキルを身につけるための手段のこと。また、キャリア副業を実践する個人が増えることで、より優秀な人材が流動化してはたらくn数が増え、人材獲得により事業成長できる企業が増える。それにより企業と個人の双方が成長するというWin-Winの関係をつくる。これがキャリア副業の社会実現であり、私たちが目指す世界観です。

―― なぜ、キャリア副業に焦点を当てているのですか?

本業の中でどんどんステップアップできる機会があれば、それは本当に素晴らしいことです。しかし、はたらく寿命が延び、一方で終身雇用制度の継続が困難になるなどはたらく環境が大きく変わる中、会社に頼らず自分自身でいかにキャリアやスキルを身につけていくかが問われています。

その実現手段がキャリア副業。転職や起業とまではいかなくても、本業を頑張りながら並行してさまざまな経験を実践で積む方法、そしてキャリアやスキルのアップグレードを“早送り”できるのがキャリア副業なのです。

―― パーソルイノベーションでも、多くのメンバーがキャリア副業を実践しています。世の中に目を向けても、副業している、あるいは副業したいと考えるビジネスパーソンが増えたと感じます。

コロナ禍ではたらき方を見直す機運が高まり、リモートワークの環境整備も進んだことで、副業を希望する個人が急激に増加しました。また、政府も副業促進に向けた政策を発表するなど、一見、副業市場に大きなムーブメントが到来しているように見えます。

しかし、2018年の副業解禁によって企業側の人材獲得方法が副業に向かったかというと、まだまだ鈍いのが現状です。特に私たちがターゲットとするキャリア副業、すなわち「正社員副業」の市場規模は0.8兆円程度。今後は2.3兆円まで拡大すると見込まれていますが、今はまだ立ち上がりの段階。ムーブメントが来ているように見えつつも、これから育っていくブルーオーシャンだということです。

―― そうなると、今後は正社員を対象とした副業サービスも増えてきそうですか?

フリーランスなどの隣接領域も含め、広い意味での副業サービスはここ2~3年で一気に増加しました。今後も、フリーランスを対象としていたサービスが正社員領域を取り込む、またパーソルのような人材系企業が転職だけでなく副業を対象とした別ブランドを展開するなど、さまざまな動きが出てくるでしょう。

しかし、正社員副業が当たり前の文化になるのはまだまだ先、5年10年はかかると見ています。これはつまり、5年10年と腰を据えてやっていくサービスだけが生き残れるということ。サービスが増え続けるというより、勝ち残っていくサービスとシュリンクしていくサービスに二分していくのではないかと考えています。

2つの事業を軸に企業の課題を一気通貫で支援

―― では、そんな副業市場で生き残るために『lotsful』はどんな戦略を描いているのでしょうか。事業戦略について教えてください。

現在『lotsful』では、「タレントマッチング事業」と「ソリューション事業」の2つを軸に事業を展開しています。

まず、『lotsful』のベースとなるタレントマッチング事業は、副業人材活用のプロジェクトを“丸っと”支援するもの。副業人材と企業をただマッチングさせるのではなく、応募者のスクリーニング、プロジェクトの設計や運用支援、副業人材活用に当たっての組織づくりなど、副業人材活用の取り組みをトータルで支援しています。

このタレントマッチング事業が成長する中で見えてきたのが、「マッチング事業だけでは課題を解決できないお客さまがいる」ということ。その解決に向け注力しているのが、もう1つの軸であるソリューション事業です。

―― 「マッチング事業だけでは解決できない課題」とは、具体的にどんな課題ですか? 

たとえば、大手企業さんからは「外部の人材とはたらく制度や風土、セキュリティや情報の取り扱いが整備できていない」「副業人材を受け入れる前に、副業を解禁したものの自社の社員が副業に取り組めていない」といったご相談が多く寄せられるようになりました。また、地域の企業さんからは「副業人材を受け入れたいが、資金的に余裕がない」などの声も聞かれます。

これは、手段としての副業人材活用に至る前の段階から支援が必要だということ。副業解禁そのものの支援や副業制度の構築だったり、行政・自治体と一体となり地域の企業を後押しできる仕組みづくりだったり。こうした
ソリューション事業の強化を通じて、一気通貫でサポートできる体制が整ってきました。

企業と個人を結ぶ“通訳者”として価値を発揮

―― 副業人材活用における企業の課題を一気通貫で支援できることが『lotsful』の武器であり、そこに生き残りのカギがあるということですね。差別化のポイントは他にもありますか?

『lotsful』は、営業や事業開発、人事や経営企画といったいわゆる“ビジネス職”をターゲットとし、かつ一般的に外部ではなく内部の社員が携わることの多い「戦略立案から運用・実行」といった業務の“ミドル領域”を副業人材に置き換えていく戦略を取っています。実はこの点も『lotsful』ならではの戦略であり、大きな差別化ポイントだと思っています。

―― 戦略の中身を詳しく聞かせてください。

現在の副業市場やフリーランス市場を見ると、エンジニアやクリエイターといった職種においては外部人材活用の文化が浸透しはじめ、そこをターゲットとした副業サービスも多数登場しています。

一方でビジネス職、しかもアドバイザーだけでもなくタスク切り出し型だけでもないミドル領域に関してはまだまだ外部人材活用のハードルが高く、この領域に特化したプレイヤーもいません。なぜかと言うと「支援するのにすごく手間がかかる」から。たとえばある企業で「この事業の売上を1,000万円に拡大する」という目標があったとします。やるべきことが明確に決まっているフェーズならまだしも、その実現に向け取るべき手法に決まったものはなく、どんな業務を任せることになるのか明確に分解できない場合も多い。このような中で、どんな人材にどんな業務を切り出すのが最適なのかを言語化するのは困難です。また、アウトプットが明確なクリエイター職と比較しても、ビジネス職の副業人材が「営業経験が10年あります」と言っても、それだけで最適な人材なのかは判断できません。

つまり、業務や個人のスキルを言語化・可視化する必要があるわけですが、アウトプットが明確でないものを言語化・可視化してマッチングするには、相当の工数とノウハウが必要です。ここに“通訳者”として入り込み、企業と個人を支援しているのが『lotsful』。数ある副業サービスとは大きく異なり、差別化につながっていると自負しています。

―― 通訳が必要なくらい難しいからこそ、そこに価値を見出してくれるお客さまが大勢いらっしゃる。それが『lotsful』の成長につながっているのですね。

そうですね。ただ、この企業と個人の間に入るというエージェント型のモデルだけを続けていこうとしているわけではありません。今は翻訳が難しいから通訳者が必要というタイミング。だからこそ、しっかりと間に入って支援を行っています。

以前、この公式noteで大崎が話していたように、私たちは独自のマッチングプラットフォームを使い、人力とテクノロジーによる“ハイブリッドな運営”を目指しています。人力でやるべきことはしっかり人力で、でも人力でつくった成功モデルを型化しシステム実装することで、通訳者がいなくてもうまくマッチングできる事例が出てくるでしょう。『lotsful』の価値を向上させるためにも、成功事例を型化しながらスケールさせていきたいと考えています。

成功事例を“真似できる形”で横展開する

―― 成功事例と言うと、日本郵政グループ様との取り組みが話題になりました。

2022年に日本郵政グループ様が「戦略的副業」の取り組みを公表し、その公式パートナーとして『lotsful』を選んでいただきました。

この取り組みは、自社の社員による社外副業、グループ間の副業、外部の副業人材の受け入れという3つの副業を推進するもの。私たちは、副業の制度や社内への浸透と意識改革、副業人材の募集・活用や社外への発信などをトータルで支援しています。

たとえば外部人材の受け入れにおいて、1年目は“お試し”としてグループ4社・6ポジションを対象に副業人材の活用を推進しました。その結果、「他社の正社員の方が入ることでプロジェクトがうまく進む」ことがわかり、2023年は20ポジションへと拡大。今まさに第2弾のプロジェクトが進んでいます。

―― 東京都大田区様との取り組みも長く続いていますね。

これは大田区様と大田区商店街連合会様と連携し、副業人材を活用することで時代のニーズに即した事業運営やコミュニティの活性化を図るというもの。大田区に住んでいる現役会社員の方だけでなく区外に住んでいる方々も一緒になり、業務効率化に向けた取り組みを推進したり、それぞれの商店街が自立的にプロモーションや新規企画を進めるための仕組みをつくったり、さまざまなモデルを導き出しています。2021年の開始から年々プロジェクト数が拡大し、成長を続けています。

―― こうした成功事例を型化しながら、また発信しながらキャリア副業という文化を根付かせ、キャリア副業が当たり前になる社会を目指しているのですね。

どちらの取り組みも、単発のプロジェクトで終わるのではなく、成果を出すことで翌年、さらに翌年と改善、進化し、継続的なプロジェクトとして大きく発展しています。

しかし、このような事例が増える一方、副業人材の受け入れに意欲があっても副業人材活用という選択肢を知らない企業も多く、また副業のやり方がわからない個人もたくさんいるのが現実。キャリア副業を当たり前の社会にするためにも、真似してもらえるような事例を生み出し、真似ができる形で横展開する。そして、私たちがいなくてもキャリア副業が広がっていく。そんな文化にまで落とし込んでいければいいなと思っています。

『lotsful』メンバーの半数以上が外部人材。その戦略の意味

~メンバーが集合する、四半期に一度のキックオフでの1枚~

―― では、事業戦略を実行・実現するための組織戦略についてお聞かせください。

『lotsful』は2019年に新規事業としてローンチし、ゼロから組織をつくり上げてきました。私たちの特徴は、半数以上が社員以外のメンバーで構成されていること。副業や業務委託など、雇用形態にとらわれないさまざまな人材が活躍しています。

―― なぜ、そのような組織体制を構築しているのですか?

ビジネス環境が激しく変化する今の時代、「これをやれば絶対に成功する」という法則は存在しません。また、変化のスピードも早まる中、事業計画の見直しが必要になり、それに伴い組織の補正が必要になることもあります。そうなったときに、社員を一から採用・育成して組織をつくっていてはスピードが追いつきません。特に私たちがターゲットとする正社員副業市場は変化の激しい領域。プロフェッショナルな人材をタイムリーに集め、すぐに活躍し事業を推進してもらう。これも組織の在り方の1つではないでしょうか。

もちろん、『lotsful』ではさまざまなプロジェクトが走っていますから、それぞれに合わせて組織のつくり方を変えています。たとえば新しい領域のプロジェクトであれば、外部のプロ人材を交えスモールチームで素早く検証し、うまくいったらコアな部分は社員化しながら組織をつくり上げていくものもあります。「目の前にいるお客さまのニーズが自分たちのサービスにどうフィードバックできるか」を常に考えているからこそ、こうした“グラデーション”が必要なのです。

また、社員と外部人材が混在する組織が事業にどんなメリットをもたらすのか、逆にどんな難しさがあるのか、自分たちで実験・検証しながらお客さまに還元できる。これも私たちならではの特徴であり、大きなメリットでもあります。

立ち上がり段階の正社員副業だからこそ“正解探し”は通用しない

―― 多くの外部人材が活躍している『lotsful』ですが、事業の成長に向け社員の採用も積極的に行っています。『lotsful』が求める人材像を教えてください。

冒頭でもお伝えしたように、正社員の副業市場は立ち上がり段階で、こうすべきという“正解”がありません。私たちも、日々模索しながら一歩一歩前に進んでいます。ですから、目の前の課題やニーズに対してどうすれば前に進められるのか、今ある手法の中から正解を探すのではなく、自ら考え、リードする姿勢やスキルが必要となってきます。

また、私たちは今後もさまざまな変化や困難に立ち向かうことになると思いますが、『lotsful』というサービスを何のためにやっているのか、志や方向性がそろっていればパワーになるはずです。もちろん、ピッタリとそろっていることが絶対なのではなく、組織として踏ん張っていくには「何のためにやっているのかがリンクしている必要がある」ということです。

私たちが目指している世界観に共感していただける方、はたらくマーケットを変革していきたいという想いがある方。そして課題に対して思考し仮説を立て、施策を打ち出しそれを実行してきた、そんな経験をもった方であればすぐに活躍できるし、活躍の場を自ら見つけられるはず。ぜひ一緒に「キャリア副業の社会実装」を実現していきましょう。

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『lotsful』では一緒にはたらく仲間を募集しています。少しでも興味をお持ちの方は、ぜひこちらからエントリーください!

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